販売名 メトホルミン塩酸塩錠500mgMT「DSEP」
組 成 (1錠中) メトホルミン塩酸塩 500mg
薬 効 ビグアナイド系経口血糖降下剤
長期投与
警 告 重篤な乳酸アシドーシスを起こすことがあり、死亡に至った例も報告されている。乳酸アシドーシスを起こしやすい患者には投与しないこと。(「禁忌」の項参照)
腎機能障害又は肝機能障害のある患者、高齢者に投与する場合には、定期的に腎機能や肝機能を確認するなど慎重に投与すること。特に75歳以上の高齢者では、本剤投与の適否を慎重に判断すること。(「慎重投与」、「重要な基本的注意」、「高齢者への投与」の項参照)
禁 忌 (次の患者には投与しないこと)
1.
次に示す患者[乳酸アシドーシスを起こしやすい。](「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照)
(1)
乳酸アシドーシスの既往のある患者
(2)
重度の腎機能障害(eGFR 30mL/min/1.73m2未満)のある患者又は透析患者(腹膜透析を含む)[腎臓における本剤の排泄が減少し、本剤の血中濃度が上昇する。]
(3)
重度の肝機能障害のある患者[肝臓における乳酸の代謝能が低下する。]
(4)
心血管系、肺機能に高度の障害(ショック、心不全、心筋梗塞、肺塞栓等)のある患者及びその他の低酸素血症を伴いやすい状態にある患者[嫌気的解糖の亢進により乳酸産生が増加する。]
(5)
脱水症の患者又は脱水状態が懸念される患者(下痢、嘔吐等の胃腸障害のある患者、経口摂取が困難な患者等)
(6)
過度のアルコール摂取者[肝臓における乳酸の代謝能が低下する。また、脱水状態を来すことがある。](「併用禁忌」の項参照)
2.
重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の患者[輸液、インスリンによる速やかな高血糖の是正が必須である。]
3.
重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない。また、乳酸アシドーシスを起こしやすい。]
4.
栄養不良状態、飢餓状態、衰弱状態、脳下垂体機能不全又は副腎機能不全の患者[低血糖を起こすおそれがある。]
5.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
6.
本剤の成分又はビグアナイド系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
  • 2型糖尿病

    ただし、下記のいずれかの治療で十分な効果が得られない場合に限る。
    (1)食事療法・運動療法のみ
    (2)食事療法・運動療法に加えてスルホニルウレア剤を使用

  • 多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激

    ただし、肥満、耐糖能異常、又はインスリン抵抗性のいずれかを呈する患者に限る。

効能・効果に関連する使用上の注意
  • 〈多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激〉
    1. 5.1 糖尿病を合併する多嚢胞性卵巣症候群の患者では糖尿病の治療を優先すること。
  • 〈多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発〉
    1. 5.2 ゴナドトロピン製剤を除く排卵誘発薬で十分な効果が得られない場合に本剤の併用を考慮すること。
用法・用量
  • 〈2型糖尿病〉

    通常、成人にはメトホルミン塩酸塩として1日500mgより開始し、1日2~3回に分割して食直前又は食後に経口投与する。維持量は効果を観察しながら決めるが、通常1日750~1,500mgとする。なお、患者の状態により適宜増減するが、1日最高投与量は2,250mgまでとする。
    通常、10歳以上の小児にはメトホルミン塩酸塩として1日500mgより開始し、1日2~3回に分割して食直前又は食後に経口投与する。維持量は効果を観察しながら決めるが、通常1日500~1,500mgとする。なお、患者の状態により適宜増減するが、1日最高投与量は2,000mgまでとする。

  • 〈多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発〉

    他の排卵誘発薬との併用で、通常、メトホルミン塩酸塩として500mgの1日1回経口投与より開始する。患者の忍容性を確認しながら増量し、1日投与量として1,500mgを超えない範囲で、1日2~3回に分割して経口投与する。なお、本剤は排卵までに中止する。

  • 〈多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激〉

    他の卵巣刺激薬との併用で、通常、メトホルミン塩酸塩として500mgの1日1回経口投与より開始する。患者の忍容性を確認しながら増量し、1日投与量として1,500mgを超えない範囲で、1日2~3回に分割して経口投与する。なお、本剤は採卵までに中止する。

用法・用量に関連する使用上の注意

中等度の腎機能障害のある患者(eGFR 30mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満)では、メトホルミンの血中濃度が上昇し、乳酸アシドーシスの発現リスクが高くなる可能性があるため、以下の点に注意すること。特に、eGFRが30mL/min/1.73m2以上45mL/min/1.73m2未満の患者には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

  • 投与は、少量より開始すること。
  • 投与中は、より頻回に腎機能(eGFR等)を確認するなど慎重に経過を観察し、投与の適否及び投与量の調節を検討すること。
  • 効果不十分な場合は、メトホルミン塩酸塩として1日最高投与量を下表の目安まで増量することができるが、効果を観察しながら徐々に増量すること。また、投与にあたっては、1日量を1日2~3回分割投与すること。
    中等度の腎機能障害のある患者における1日最高投与量の目安

    推算糸球体濾過量(eGFR)
    (mL/min/1.73m2

    1日最高投与量の目安

    45 ≦ eGFR < 60

    1,500mg

    30 ≦ eGFR < 45

    750mg

 
備 考 先発品:メトグルコ