販売名 |
フェンタニル注射液0.5mg「テルモ」 |
組 成 |
(1アンプル(10mL)中) フェンタニルクエン酸塩 0.785mg(フェンタニルとして0.5mg) |
薬 効 |
麻酔用鎮痛剤 |
長期投与 |
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警 告 |
本剤の硬膜外及びくも膜下投与は、これらの投与法に習熟した医師のみにより、本剤の投与が適切と判断される患者についてのみ実施すること。 |
禁 忌 |
(次の患者には投与しないこと)
- ○印は各投与方法での該当する項目
- (1)
- 注射部位又はその周辺に炎症のある患者[硬膜外投与及びくも膜下投与により化膿性髄膜炎症状を起こすことがある。]
- 投与方法
- 硬膜外投与:○
くも膜下投与:○
- (2)
- 敗血症の患者[硬膜外投与及びくも膜下投与により敗血症性の髄膜炎を生じるおそれがある。]
- 投与方法
- 硬膜外投与:○
くも膜下投与:○
- (3)
- 中枢神経系疾患(髄膜炎、灰白脊髄炎、脊髄癆等)の患者[くも膜下投与により病状が悪化するおそれがある。]
- 投与方法
- くも膜下投与:○
- (4)
- 脊髄・脊椎に結核、脊椎炎及び転移性腫瘍等の活動性疾患のある患者[くも膜下投与により病状が悪化するおそれがある。]
- 投与方法
- くも膜下投与:○
- (5)
- 筋弛緩剤の使用が禁忌の患者[「副作用」の項参照]
- 投与方法
- 静脈内投与:○
硬膜外投与:○
くも膜下投与:○
- (6)
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 投与方法
- 静脈内投与:○
硬膜外投与:○
くも膜下投与:○
- (7)
- 頭部外傷、脳腫瘍等による昏睡状態のような呼吸抑制を起こしやすい患者[フェンタニル投与により重篤な呼吸抑制が起こることがある。]
- 投与方法
- 静脈内投与:○
硬膜外投与:○
くも膜下投与:○
- (8)
- 痙攣発作の既往歴のある患者[麻酔導入中に痙攣が起こることがある。]
- 投与方法
- 静脈内投与:○
硬膜外投与:○
くも膜下投与:○
- (9)
- 喘息患者[気管支収縮が起こることがある。]
- 投与方法
- 静脈内投与:○
硬膜外投与:○
くも膜下投与:○
- (10)
- ナルメフェン塩酸塩水和物を投与中又は投与中止後1週間以内の患者[「相互作用」の項参照]
- 投与方法
- 静脈内投与:○
硬膜外投与:○
くも膜下投与:○
-
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効能・効果 |
- 1.
- 全身麻酔、全身麻酔における鎮痛
- 2.
- 局所麻酔における鎮痛の補助
- 3.
- 激しい疼痛(術後疼痛、癌性疼痛など)に対する鎮痛
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用法・用量 |
- 1. 全身麻酔、全身麻酔における鎮痛
- 通常、成人には、下記用量を用いる。なお、患者の年齢、全身状態に応じて適宜増減する。
- 〔バランス麻酔に用いる場合〕
- 麻酔導入時
- フェンタニル注射液として0.03〜0.16mL/kg(フェンタニルとして1.5〜8μg/kg)を緩徐に静注するか、又はブドウ糖液などに希釈して点滴静注する。
- 麻酔維持
- ブドウ糖液などに希釈して、下記(1)又は(2)により投与する。
- 1. 間欠投与
- フェンタニル注射液として0.5〜1mL(フェンタニルとして25〜50μg)ずつ静注する。
- 2. 持続投与
- フェンタニル注射液として0.01〜0.1mL/kg/h(フェンタニルとして0.5〜5μg/kg/h)の速さで点滴静注する。
- 〔大量フェンタニル麻酔に用いる場合〕
- 麻酔導入時
- フェンタニル注射液として0.4〜3mL/kg(フェンタニルとして20〜150μg/kg)を緩徐に静注するか、又はブドウ糖液などに希釈して点滴静注する。
- 麻酔維持
- 必要に応じて、ブドウ糖液などに希釈して、フェンタニル注射液として0.4〜0.8mL/kg/h(フェンタニルとして20〜40μg/kg/h)の速さで点滴静注する。
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- 通常、小児には、下記用量を用いる。なお、患者の年齢、全身状態に応じて適宜増減する。
- 〔バランス麻酔又は大量フェンタニル麻酔に用いる場合〕
- 麻酔導入時
- フェンタニル注射液として0.02〜0.1mL/kg(フェンタニルとして1〜5μg/kg)を緩徐に静注するか、又はブドウ糖液などに希釈して点滴静注する。大量フェンタニル麻酔に用いる場合は、通常、フェンタニル注射液として2mL/kg(フェンタニルとして100μg/kg)まで投与できる。
- 麻酔維持
- フェンタニル注射液として0.02〜0.1mL/kg(フェンタニルとして1〜5μg/kg)ずつ間欠的に静注するか、又はブドウ糖液などに希釈して点滴静注する。
- 2. 局所麻酔における鎮痛の補助
- 通常、成人には、フェンタニル注射液として0.02〜0.06mL/kg(フェンタニルとして1〜3μg/kg)を静注する。なお、患者の年齢、全身状態、疼痛の程度に応じて適宜増減する。
- 3. 激しい疼痛(術後疼痛、癌性疼痛など)に対する鎮痛
- 通常、成人には、下記用量を用いる。なお、患者の年齢、症状に応じて適宜増減する。
- 〔静脈内投与の場合〕
- 術後疼痛に用いる場合は、フェンタニル注射液として0.02〜0.04mL/kg(フェンタニルとして1〜2μg/kg)を緩徐に静注後、フェンタニル注射液として0.02〜0.04mL/kg/h(フェンタニルとして1〜2μg/kg/h)の速さで点滴静注する。
癌性疼痛に対して点滴静注する場合は、フェンタニル注射液として1日2〜6mL(フェンタニルとして0.1〜0.3mg)から開始し、患者の症状に応じて適宜増量する。
- 〔硬膜外投与の場合〕
- 単回投与法
- フェンタニル注射液として1回0.5〜2mL(フェンタニルとして1回25〜100μg)を硬膜外腔に注入する。
- 持続注入法
- フェンタニル注射液として0.5〜2mL/h(フェンタニルとして25〜100μg/h)の速さで硬膜外腔に持続注入する。
- 〔くも膜下投与の場合〕
- 単回投与法
- フェンタニル注射液として1回0.1〜0.5mL(フェンタニルとして1回5〜25μg)をくも膜下腔に注入する。
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用法・用量に関連する使用上の注意 |
- 1.
- バランス麻酔においては、適宜、全身麻酔剤や筋弛緩剤等を併用すること。
- 2.
- 大量フェンタニル麻酔の導入時(開心術においては人工心肺開始時まで)には、適切な麻酔深度が得られるよう患者の全身状態を観察しながら補助呼吸下で緩徐に投与すること。また、必要に応じて、局所麻酔剤、静脈麻酔剤、吸入麻酔剤、筋弛緩剤等を併用すること。
- 3.
- 硬膜外投与及びくも膜下投与時には局所麻酔剤等を併用すること。
- 4.
- 患者の状態(呼吸抑制等)を観察しながら慎重に投与すること。
特に癌性疼痛に対して追加投与及び他のオピオイド製剤から本剤へ変更する場合には、前投与薬剤の投与量、効力比及び鎮痛効果の持続時間を考慮して、副作用の発現に注意しながら、適宜用量調節を行うこと(ガイドライン注)参照)。
- 5.
- 癌性疼痛に対して初めてオピオイド製剤として本剤を静注する場合には、個人差も踏まえ、通常よりも低用量(ガイドライン注)参照)から開始することを考慮し、鎮痛効果及び副作用の発現状況を観察しながら用量調節を行うこと。
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- 注)日本麻酔科学会−麻酔薬および麻酔関連薬使用ガイドライン1)(抜粋)
- (3) 使用法(フェンタニル注射液について)
- 3) 激しい疼痛(術後疼痛、癌性疼痛など)に対する鎮痛
- 〈1〉静注
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- a)術後痛◆術後痛に対しては、初回投与量として1〜2μg/kgを静注し、引き続き1〜2μg/kg/hrで持続静注する。患者の年齢、症状に応じて適宜増減が必要である。患者自己調節鎮痛(PCA)を行う場合は、4〜60μg/hrで持続投与を行い、痛みに応じて5〜10分以上の間隔で7〜50μg(10〜20μgを用いることが多い)の単回投与を行う。
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- b)癌性疼痛◆癌性疼痛に対して、経口モルヒネ製剤から切り替える場合は、1日量の1/300量から開始する。持続静注の維持量は、0.1〜3.9mg/dayと個人差が大きいので、0.1〜0.3mg/dayから開始し、投与量を滴定する必要がある。
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備 考 |
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