販売名 |
献血ヴェノグロブリンIH10%静注2.5g/25mL |
組 成 |
(1バイアル中) 人免疫グロブリンG 2,500mg |
薬 効 |
血漿分画製剤(液状・静注用人免疫グロブリン製剤) |
長期投与 |
|
特殊記載項目 |
本剤は,貴重な人血液を原料として製剤化したものである.原料となった血液を採取する際には,問診,感染症関連の検査を実施するとともに,製造工程におけ る一定の不活化・除去処理を実施し,感染症に対する安全対策を講じているが,人血液を原料としていることによる感染症伝播のリスクを完全に排除することは できないため,疾病の治療上の必要性を十分に検討の上,必要最小限の使用にとどめること.(「使用上の注意」の項参照) |
警 告 |
- 抗ドナー抗体陽性腎移植における術前脱感作に用いる場合は,腎移植患者の管理に精通している医師又はその指導のもとで行うこと.
|
禁 忌 |
(次の患者には投与しないこと)
- 1.
- 本剤の成分に対しショックの既往歴のある患者
- 2.
- 遺伝性果糖不耐症の患者〔本剤の添加物D-ソルビトールが体内で代謝されて生成した果糖が正常に代謝されず,低血糖症等が発現し,肝不全や腎不全が誘発されるおそれがある.〕
|
原則禁忌 |
(次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合には慎重に投与すること)
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
|
効能・効果 |
- (1)
- 低並びに無ガンマグロブリン血症
- (2)
- 重症感染症における抗生物質との併用
- (3)
- 特発性血小板減少性紫斑病(他剤が無効で,著明な出血傾向があり,外科的処置又は出産等一時的止血管理を必要とする場合)
- (4)
- 川崎病の急性期(重症であり,冠動脈障害の発生の危険がある場合)
- (5)
- 多発性筋炎・皮膚筋炎における筋力低下の改善(ステロイド剤が効果不十分な場合に限る)
- (6)
- 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣性運動ニューロパチーを含む)の筋力低下の改善
- (7)
- 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣性運動ニューロパチー を含む)の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)
- (8)
- 全身型重症筋無力症(ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る)
- (9)
- 天疱瘡(ステロイド剤の効果不十分な場合)
- (10)
- 血清IgG2値の低下を伴う,肺炎球菌又はインフルエンザ菌を起炎菌とする急性中耳炎,急性気管支炎又は肺炎の発症抑制(ワクチン接種による予防及び他の適切な治療を行っても十分な効果が得られず,発症を繰り返す場合に限る)
- (11)
- 水疱性類天疱瘡(ステロイド剤の効果不十分な場合)
- (12)
- ギラン・バレー症候群(急性増悪期で歩行困難な重症例)
- (13)
- 抗ドナー抗体陽性腎移植における術前脱感作
-
-
-
-
-
|
効能・効果に関連する使用上の注意 |
- 1.
- 重症感染症における抗生物質との併用に用いる場合は,適切な抗菌化学療法によっても十分な効果の得られない重症感染症を対象とすること.
- 2.
- 川崎病に用いる場合は,発病後7日以内に投与を開始することが望ましい.
- 3.
- 多発性筋炎・皮膚筋炎における筋力低下の治療に用いる場合は,原則として,下記に規定するいずれかのステロイド剤による治療を実施しても十分な効果の得られない患者を対象とすること.
- [ステロイド剤が効果不十分の判断基準]
- 1) 本剤投与12週以上前からの治療歴で判断する場合
- 本剤投与の12週以上前に副腎皮質ステロイドをプレドニゾロン換算で50mg/日以上又は1mg/kg/日以上のステロイド大量療法にて1ヵ月以上治療した治療歴があり,その後も本剤投与開始時までステロイド治療を継続していたにもかかわらず,十分な改善が認められず,血中CK値が基準値上限を超えている患者.
- 2) 本剤投与前の12週未満の治療歴で判断する場合
- 本剤投与前6〜12週の時点で副腎皮質ステロイドをプレドニゾロン換算で50mg/日以上又は1mg/kg/日以上のステロイド大量療法を実施していた治療歴があり,その後も本剤投与開始時までステロイド治療を継続していたにもかかわらず,十分な改善が認められず,血中CK値が基準値上限を超えており,4週間以上の間隔をおいて測定された直近の検査値の比較で,血中CK値の低下が認められていない患者.
- 4.
- 本剤は多発性筋炎・皮膚筋炎における皮膚症状の改善を目的として投与する薬剤ではない(本剤の皮膚症状に対する有効性は確立していない).
- 5.
- 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣性運動ニューロパチーを含む)の運動機能低下の進行抑制に用いる場合は,「慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣性運動ニューロパチーを含む)の筋力低下の改善」に対する本剤の有効性が認められたものの,症状の再発・再燃を繰り返している患者にのみ投与すること.
- 6.
- 全身型重症筋無力症に用いる場合は,ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤による適切な治療によっても十分効果が得られない患者のみを対象とすること.また,本剤による治療を行う前に,胸腺摘除術の実施を考慮すること.(献血ヴェノグロブリンIH5%(以下,5%製剤)を用いた臨床試験では,プレドニゾロン換算で60mg/隔日以上若しくは1.2mg/kg/隔日以上,又は30mg/連日以上若しくは0.6mg/kg/連日以上のステロイド剤を4週間以上服用した治療歴があり,現在も継続してステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤を服用しているにもかかわらず十分な改善が認められない又は再燃を繰り返す患者に対し,その有効性及び安全性が検討されている.〔【臨床成績】6.の項参照〕)
- 7.
- 天疱瘡に用いる場合は,副腎皮質ホルモン剤による適切な治療によっても十分な効果が得られない患者のみを対象とすること.同種同効製剤(乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン)の臨床試験では,副腎皮質ホルモン剤20mg/日(プレドニゾロン換算)以上を3〜7日間使用したにもかかわらず,臨床症状の改善が認められなかった患者に対し,当該製剤の有効性及び安全性が検討されている.
- 8.
- 腫瘍随伴性天疱瘡,疱疹状天疱瘡,薬剤誘発性天疱瘡に対する有効性及び安全性は確立していない.
- 9.
- 血清IgG2値の低下を伴う,肺炎球菌又はインフルエンザ菌を起炎菌とする急性中耳炎,急性気管支炎又は肺炎の発症抑制に用いる場合は,投与開始時に以下のすべての条件を満たす患者にのみ投与すること.
-
- ・過去6ヵ月間に急性中耳炎として4回以上,又は,急性気管支炎若しくは肺炎として2回以上の発症を認めること.
-
- ・起炎菌として肺炎球菌又はインフルエンザ菌が同定されていること.
-
- ・血清IgG2値80mg/dL未満が継続していること.
- 10.
- 水疱性類天疱瘡に用いる場合は,副腎皮質ホルモン剤による適切な治療によっても十分な効果が得られない患者のみを対象とすること.同種同効製剤(乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン)の臨床試験では,副腎皮質ホルモン剤0.4mg/kg/日(プレドニゾロン換算)以上を7〜21日間使用したにもかかわらず,臨床症状の改善が認められなかった患者に対し,当該製剤の有効性及び安全性が検討されている.
-
|
用法・用量 |
- 本剤は効能・効果に応じて以下のとおり投与する.なお,直接静注する場合は,きわめて緩徐に行うこと.
- ・低並びに無ガンマグロブリン血症:
- 通常,1回人免疫グロブリンGとして200〜600mg(2〜6mL)/kg体重を3〜4週間隔で点滴静注又は直接静注する.患者の状態によって適宜増減する.
- ・重症感染症における抗生物質との併用:
- 通常,成人に対しては,1回人免疫グロブリンGとして2,500〜5,000mg(25〜50mL)を,小児に対しては,1回人免疫グロブリンGとして100〜150mg(1〜1.5mL)/kg体重を点滴静注又は直接静注する.症状によって適宜増量する.
- ・特発性血小板減少性紫斑病:
- 通常1日に,人免疫グロブリンGとして200〜400mg(2〜4mL)/kg体重を点滴静注又は直接静注する.なお,5日間使用しても症状に改善が認められない場合は,以降の投与を中止すること.年齢及び症状に応じて適宜増減する.
- ・川崎病の急性期:
- 通常,人免疫グロブリンGとして1日に400mg(4mL)/kg体重を5日間点滴静注又は直接静注,若しくは人免疫グロブリンGとして2,000mg(20mL)/kg体重を1回点滴静注する.なお,年齢及び症状に応じて適宜減量する.
- ・多発性筋炎・皮膚筋炎における筋力低下の改善(ステロイド剤が効果不十分な場合に限る):
- 通常,成人には1日に人免疫グロブリンGとして400mg(4mL)/kg体重を5日間点滴静注する.
- ・慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣性運動ニューロパチーを含む)の筋力低下の改善:
- 通常,1日に人免疫グロブリンGとして400mg(4mL)/kg体重を5日間連日点滴静注又は直接静注する.なお,年齢及び症状に応じて適宜減量する.
- ・慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣性運動ニューロパチーを含む)の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合):
- 通常,人免疫グロブリンGとして「1,000mg(10mL)/kg体重を1日」又は「500mg(5mL)/kg体重を2日間連日」を3週間隔で点滴静注する.
- ・全身型重症筋無力症(ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る):
- 通常,成人には1日に人免疫グロブリンGとして400mg(4mL)/kg体重を5日間点滴静注する.
- ・天疱瘡(ステロイド剤の効果不十分な場合):
- 通常,1日に人免疫グロブリンGとして400mg(4mL)/kg体重を5日間連日点滴静注する.なお,年齢及び症状に応じて適宜減量する.
- ・血清IgG2値の低下を伴う,肺炎球菌又はインフルエンザ菌を起炎菌とする急性中耳炎,急性気管支炎又は肺炎の発症抑制(ワクチン接種による予防及び他の適切な治療を行っても十分な効果が得られず,発症を繰り返す場合に限る):
- 人免疫グロブリンGとして初回は300mg(3mL)/kg体重,2回目以降は200mg(2mL)/kg体重を投与する.投与間隔は,通常,4週間とする.
- ・水疱性類天疱瘡(ステロイド剤の効果不十分な場合):
- 通常,1日に人免疫グロブリンGとして400mg(4mL)/kg体重を5日間連日点滴静注する.
- ・ギラン・バレー症候群(急性増悪期で歩行困難な重症例):
- 通常,1日に人免疫グロブリンGとして400mg(4mL)/kg体重を5日間連日点滴静注する.
- ・抗ドナー抗体陽性腎移植における術前脱感作:
- 通常,人免疫グロブリンGとして,1日あたり1,000mg(10mL)/kg体重を点滴静注する.ただし,患者の年齢及び状態に応じて適宜減量する.なお,総投与量は4,000mg(40mL)/kg体重を超えないこと.
|
用法・用量に関連する使用上の注意 |
- 1.
- 急速に注射すると血圧降下を起こす可能性がある(低・無ガンマグロブリン血症の患者には注意すること).
- 2. 投与速度:
- ショック等の副作用は初日の投与開始1時間以内,また投与速度を上げた際に起こる可能性があるので,これらの時間帯については特に注意すること.
- (1)
- 初日の投与開始から1時間は0.01mL/kg/分で投与し,副作用等の異常所見が認められなければ,徐々に速度を上げてもよい.ただし,0.06mL/kg/分を超えないこと.2日目以降は,前日に耐容した速度で投与することができる.
- (2)
- 川崎病の患者に対し,2,000mg(20mL)/kgを1回で投与する場合は,基本的には(1)の投与速度を遵守することとするが,急激な循環血液量の増大に注意し,6時間以上かけて点滴静注すること.
- 3.
- 低並びに無ガンマグロブリン血症の用法・用量は,血清IgGトラフ値を参考に,基礎疾患や感染症などの臨床症状に応じて,投与量,投与間隔を調節する必要があることを考慮すること.
- 4.
- 多発性筋炎・皮膚筋炎における筋力低下の治療及び全身型重症筋無力症の治療において,少なくとも本剤投与後4週間は本剤の再投与を行わないこと(4週間以内に再投与した場合の有効性及び安全性は検討されていない).
- 5.
- 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣性運動ニューロパチーを含む)における筋力低下の改善は,本剤投与終了1ヵ月後に認められることがあるので,投与後の経過を十分に観察し,本剤投与終了後1ヵ月間においては本剤の追加投与は行わないこと.
- 6.
- 天疱瘡及び水疱性類天疱瘡における症状の改善は,本剤投与終了4週後までに認められることがあるので,投与後の経過を十分に観察し,本剤投与終了後4週間においては本剤の追加投与は行わないこと.
- 7.
- 血清IgG2値の低下を伴う,肺炎球菌又はインフルエンザ菌を起炎菌とする急性中耳炎,急性気管支炎又は肺炎の発症抑制に用いる場合は,本剤の投与は6回を目安とすること.なお,投与を再開する場合には,対象患者の条件(「効能・効果に関連する使用上の注意」の項参照)への適合を再度確認し,本剤投与の要否を判断すること.
- 8.
- 抗ドナー抗体陽性腎移植における術前脱感作に用いる場合は,本剤は投与開始から7日間以内を目安に投与を完了するが,患者の年齢及び状態に応じて適宜調節すること.
-
|
備 考 |
|